2026年2月17日
当セミナーは、福岡大学医学部 眼科学教室 主任教授 平山雅敏先生を座長にお迎えし、京都大学医学部附属病院 眼科 須田謙史先生より【攻めのAI】として「AIが加速する医師のタスクシフト-退院サマリー・紹介状作成業務からの解放-」について、医療法人社団 医新会 理事長 新見浩司先生より【守りのAI】として、セキュリティ対策を含めた「AI&DXトレンド最前線」について、それぞれご講演いただきました。
セミナー中の様子
左から新見先生、平山先生、須田先生
須田謙史先生は、まず京大眼科における診療記事記載システム「C-Note」の導入と、現場のニーズに応じ手術台帳やランチャー機能などを拡充してきた4年間の歩みを振り返られました。この強固な診療基盤を土台として、京都大学とフィッティングクラウド※が共同開発したのが生成AI「CocktailAI」です。
開発においてはAIの弱点である「嘘(ハルシネーション)」の克服を重視し、信頼性の高いテンプレートをAIが穴埋めする実用的な仕組みを確立されました。実際の活用例では、入退院サマリーの自動生成やOCRに加え、スマホ音声のクラウド転送・要約機能を披露。誤認した薬剤名を正しい一般名へ自動補正したエピソードを挙げ、生成AIのポテンシャルを強調されました。
最後に、安全・安心な生成AIの導入こそが医師の事務負担を軽減する鍵であると述べ、クラウドによるシームレスな病病・病診連携を通じた次世代医療DXへの展望を示し、講演を締めくくられました。
※ フィッティングクラウド株式会社:株式会社ファインデックスと京大オリジナル株式会社(京都大学の事業子会社)の合弁会社。
また、新見浩司先生は、サイバー攻撃や災害からクリニックを守りつつ、業務を効率化する実務的な医療DXについて解説されました。
まず、医療機関でも被害が続いているランサムウェアの脅威に対し、従来のバックアップでは復旧に時間がかかり診療が停滞するリスクを指摘。その解決策として、診療記録をPDF化してクラウド保存する「Web Medical Record」を紹介されました。これにより、システム障害時でも手元の端末から即座にカルテを参照でき、診療を途絶えさせない体制が構築可能です。
あわせて、文書作成システム「DocuMaker」と電子サインを連携させたペーパーレス運用の利点も強調されました。署名後のスキャン作業や保管コストを排除するだけでなく、書類の取り違えミスも防止できるため、大規模病院からクリニックまで幅広い業務改善に資する知見が示されました。
また、昨今課題となっている閉院後のカルテ保管義務に対しても、WebMedicalRecordの有用性がその解決の一助となることに触れられました。
総じて、万全なデータ保護と事務負担の軽減を同時に実現することが、現代の医療経営におけるDXの本質であると締めくくられました。
講演後の質疑応答では、AI・DX導入前後における率直な変化について質問が及び、両先生から実体験に基づいた貴重な知見を共有していただく有意義な場となりました。
ご多忙の折にご参加くださいました皆様、そして座長ならびにご講演を賜りました先生方に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
| テーマ | 「AIはドクターの右腕になるか?」 |
|---|---|
| 日 時 | 2026年1月31日(土) 12:30~13:30 |
| 会 場 | 福岡国際会議場 第8会場(2F「203」) ランチョンセミナーLS14) |
| 座 長 | 福岡大学医学部 眼科学教室 主任教授 平山雅敏 先生 |
| 演題① | 「AIが加速する医師のタスクシフト -退院サマリー・紹介状作成業務からの解放-」 |
| 講 師 | 京都大学医学部附属病院 眼科 須田謙史 先生 |
| 演題② | 「AI&DXトレンド最前線」 |
| 講 師 | 医療法人社団 医新会 理事長 新見浩司 先生 |
日本眼科手術学会学術総会は、眼科手術に関する臨床的・基礎的研究の発展と、手術手技の向上および知識の普及を図り、眼科医療の質の向上と学術の発展に寄与することを目的とする学会です。