2017年01月23日

愛媛大工学部・京都大医学部との共同研究により
新たな検査手法を用いた
視野検査システムの開発に着手

ヘルスケア領域におけるマーケット獲得、
ビッグデータの活用により新たなビジネス展開を目指す

当社は、国立大学法人愛媛大学(学長:大橋 裕一、以下愛媛大学)と「新規視覚特性計測法を用いた視野計測装置の研究開発」、および国立大学法人京都大学(総長:山極 壽一、以下京都大学)との「視機能評価プログラム医療機器開発研究」に着手いたしました。

当システムの開発にあたっては、愛媛大学および京都大学の各々と共同研究を行い、両研究の成果により新しい検査手法を用いた「視線誘導型視野計測システム」の製品化を図ります。愛媛大学との共同研究においては、同大学の総合情報メディアセンター川原研究室で開発された視野計測手法について、様々な視覚特性を正確に計測する技術やプログラムの研究開発を行います。

また、京都大学医学部との共同研究においては、愛媛大学と開発した視野計測プログラムについて、臨床実装や医療機器登録に向けた検討を行い医学的見地から視野異常をきたす種々の疾患に対する新たな検査手法の開発と製品価値の確立を図ることで、新たな視野検査装置の製品化と検査データの疫学的および臨床的な分析と有効利用を行います。

一般に視野検査は、視野が狭くなったり部分的に欠損したりするといった視野に関する異常を調べる際に行われます。視野異常は緑内障を始めとして、網膜剥離、脳卒中など様々な疾患に伴うとされており、中でも緑内障は失明原因の第1位となっています。40歳以上の20人に1人が罹患しており、日本国内の治療中の患者は約30万人です。潜在患者は400万人とも言われており、40歳以上に限って言えばその約90%が潜在患者であることも明らかになっています。

現時点では緑内障で喪失した視野を回復させることは難しく、多くの場合で進行を遅らせることが診療の目標になります。しかしながら、特に早期には自覚症状が乏しく、発症に気が付かないケースも多く見られます。緑内障の重篤化対策としては、早期発見、早期治療が重要であり、定期的な検診が必要不可欠ですが、特定健診(いわゆるメタボ検診)や労働安全衛生法で定められている企業の定期健康診断で、視野検査は実施されていません。運転免許の取得・更新時にも、矯正視力に問題が無ければ視野検査はなく、本人が早期発見を意識して検査を受けない限り、病気に気が付かず手遅れになることも十分にあり得ます。

失明のリスクを回避できる重要な検査でありながらも視野検査が視力検査の様に普及しない原因としては、自覚症状に乏しく受診のきっかけが少ないことの他に検査そのものの問題も考えられます。視野検査の多くは視野計という専用の検査機器を用いて行われます。暗い検査室で一点を凝視し周囲に光が見えたらボタンを押すことで視野を測定します。視野計は多くの臨床実績を持つ優れた検査機器ですが、検査中は常に視線を固定し注意して光を見続けなければならない為に疲労感が伴います。異常がなければ片眼10分程度で終わることもありますが、見えない部分がある場合は片眼で30分以上かかることもあり、受検者の負担は大きくなりがちです。また、検査機器も高価で視能訓練士などの専門知識を持った検査員も必要となる為、一般的な健診施設などで実施が困難なケースが多いのが現状です。

今回、愛媛大学の開発した新しい視野計測手法では、これまでの様に視線を固定することなく検査を行うことができ、受検者の負担を大幅に軽減します。専用の検査機器も必要なく、一般的なパソコンやタブレット端末で検査を行うことができる為、患者の負担だけでなく検査者や実施施設側の負担も軽減されます。病院に行かなくても自宅や会社などで気軽に検査できるようになることで病気の早期発見にもつながることが期待されます。

愛媛大学の開発した視野計測手法は同大学が特許を持つ独自の手法で、当社はこの特許の独占的使用許諾を得ています。愛媛大学との共同研究では、この特許手法を実際の検査に適応できるものへと精度を高め、最適なデバイスを選定していくことで製品化を図ります。また、愛媛大学と開発したプログラムは、京都大学との共同研究で臨床的な裏づけを行い、“医療機器”としての製品化を目指します。病気の有無や状態を判断するに足る検査結果を得る為に、その検査方法や結果を導き出す過程について臨床データに基づく根拠を明確化していきます。

当システムは、従来の実体型の検査機器に比べて安価かつ容易に検査が行えることから、視野検査の敷居を下げ広く普及することで潜在患者の早期発見に繋がると考えています。医療領域で培ったノウハウをヘルスケア領域にも活かすことで、健診施設はもちろん、企業の社内健康管理や眼鏡販売店の付加サービスなど、新たなマーケットを獲得していきます。また、昨今個人の健康管理に対する意識は高まっており、スマートフォンやタブレット端末を利用した健康管理アプリは多く提供されていますが、当システムも手軽に利用できる無料アプリとして提供することで、定期的な視野計測で個人の健康管理を支援するだけでなく、アプリを通じて世界中から情報を集めビッグデータとして活用することで新たなビジネスを展開していくことも可能になります。

詳細については下記ページをご覧ください。

https://findex.co.jp/rd/perimetry.html

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