視線分析型視野計 GAP/GAP-screener は、ヘッドマウント型の自動視野計です。自社で設計・開発した専用ゴーグルは、検査に最適化されたスペックと軽さを実現しました。また、量産型視野検査装置として初めて、アイトラッキングとAI*を使った分析を行っております。被検者はボタン操作無しで検査を受けることが出来、暗室や広い検査スペースを必要としません。
※AIを活用した判定ロジックを搭載していますが、出荷後に性能変化を伴うものではございません。
GAP/GAP-screener導入施設の声 #2
医療法人 オリエンタルクリニック
愛知県名古屋市にある医療法人オリエンタルクリニックは、1973年に人間ドックを開設以来、長い歴史の中で培われた確かな技術とサービスを提供しています。現在までの人間ドック受診者数はのべ100万名以上、近年では年間2万人を超える受診者数に対応されている業界屈指の健診機関です。
人間ドック部 部長 石井様、係長 木村様 には、健診施設でのGAP-screenerの活用方法などをお話いただきました。
当クリニックでは、2014年からFDTを使用して視野検査を導入しました。FDT検査では受診者にボタンを押してもらう必要があります。その為受診者への検査方法の周知不足により、正しい結果が得られず偽陽性が発生する問題がありました。
2022年に豊田通商様から、GAP-screenerをご紹介いただきました。この製品は新しい検査方法(アイトラッキング)を用いており、非常に画期的で、検査精度が高く、ハンフリー視野計との相関性が高いものでした。最も注目したポイントは受診者の負担が少ない点です。院内テスト運用は2年前、眼科医を含む院内スタッフでテスト運用をおこないました。結果は良好で、軽微な視野異常を含み検出することができ、あらためて検査の正確性が確認できました。
当時、GAP-screenerの認知度はまだ低かったものの、眼科医からは「これはすごいね、健診で使えるよね」と評価をいただきました。また、視野検査の重要性が眼科学会で高まり、GAP-screenerの将来性も期待できることから、当クリニックでも視野検査を強化すべきだという判断に至り、導入を決定しました。
GAP-screenerの導入により、検査の正確性が大幅に向上しました。
FDTを使用していた時は、検査中に受診者の眼の状態を把握できず、受診者がボタンを押せない理由が分からないことがありました。偽陽性の結果になることがあり、スタッフからも「本当にこれで大丈夫なのか?」と声がありました。しかし、GAP-screenerを使用した検査ではそのような不安が激減しました。検査中はPCモニター画面を見ながら、例えばコンタクトレンズを使用している受診者が乾燥により瞬きを多くしているなど、今どういう状態で検査がうまく進んでいないのかを検査員が把握することができます。またアイトラッキングを使用して、受診者が視標を追えていない場合や困難を感じている場合には、固視ボタンに切り替える判断ができるため、受診者の負担も軽減されると思います。
そのような個々の受診者に合わせた対応が早めにできるようになったことで、検査の精度も大きく向上しています。検査中に受診者の眼の状態が分かることが、最も大きな利点だと考えます。
ヘッドマウント型機器を見ると、ゲームのようなイメージもあるため、多くの方がワクワクされます。最新の検査が可能だということは、「何が分かるのだろう」という期待や、新しいものへの関心を呼び起こします。以前のFDTによる検査では、見えたか見えていないか不安なままボタンを押すことがあり、その信頼性に疑問を持つ受診者もいました。しかし、GAP-screenerでは「眼の動きやAIを使用して機械が分析している」と説明すると、安心していただけることが多いです。 一方で、ヘッドマウントを装着するため首が疲れるとの声が聞かれます。また、瞬きをしてはいけないと思い込んでいる方も多く、目が乾燥して疲れてしまうというお声をいただくこともあります。
当クリニックでは視野検査を実施する上で以下のことをしています。
※④⑤⑥について、GAP導入後に追加実施
検査が始まれば操作に関してそれほど気にする点はありませんが、ヘッドマウント型であるため、受診者への装着が一番重要で難しい点があります。特に、骨格が小さい方や、両眼の位置が離れている方に対しては、装着に苦労することがあります。また裸眼で見えづらい方(0.1未満)には、矯正レンズを使用して計測します。その時に受診者に合ったレンズ選択をするのが難しく、各スタッフが習熟するのに苦労しました。2回目の受診者もいらっしゃいますので、前回の結果との比較がもっとスムーズにできると良いと感じています。
視野検査を始めた当初は、新規の方を対象に行っていましたが、最近では眼底検査で陥凹や緑内障の所見が見られる方に対して、追加検査として視野検査をおすすめしています。
受診項目の眼科系検査で、要精密検査対象者をみると、眼底検査で「乳頭陥凹」などの所見の方が多くいらっしゃいます。対象者は眼科での2次検査(視野検査等)が必要となります。毎年の検査で同じ案内になるので、検査を受けていない方も多くおみえになります。そこで当クリニックでは、視野検査を含む総合的な判定として、検査結果を作成するようにしています。現在はオプション検査で選択していただく必要がありますが、正しい検査結果をお届けすることが出来るのでおすすめしています。
視野検査を実施している健診施設はまだまだ少ないと聞いています。また導入施設より、検査数が増えないとの声もよくお聞きしています。当クリニックでは9年間実施していますが、多くの方が選択し受けていただいております。当クリニックでは、受診者との対話を重要と考えており、当検査も受診者のご理解をいただければこその結果だと思います。
健診施設全体の意識向上が大切であると思います。
昨年、GAP-screenerでの検査を導入する前に加齢黄斑変性のチェックシートを眼底検査室の前に貼ったところ、待ち時間中に半数以上の方がチェックシートを見ていました。眼の健康を気にしている人は多いのですが、同時に放置してしまう人も多いです。健康意識が高い人が人間ドックを受ける時点で、健診施設側が追加検査として視野検査を実施することは、受診者にとっても有益だと思いますし、視野検査は今後もっと重要性が増すと考えています。GAP-screenerは暗室も必要なく、アイトラッキングでの検査のため侵襲性(患者が身体に受ける負担)が低く、正確性が高い検査機器です。グループ内の他支部でも導入しておりますが、他の健診施設においても視野検査が標準的に受けられる環境が広がれば良いと思います。
将来的にはある程度受診者がセルフで検査してもらえる機械になると思っていますが、その場合でも、検査スタッフが検査と結果について理解しており、説明できる事が重要と考えております。
石井様、木村様、取材にご協力いただきありがとうございました。
所在地:愛知県名古屋市千種区今池1丁目8-5